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ねぎとろ丼

ねぎとろ丼

癒しの時間




 ※百合的表現が含まれています 受け付けない方はお戻りを














 初春の晴れた日。私博麗霊夢は境内の掃除は程ほどに、空を眺めながらお茶を楽しんでいた。
 ここ最近異変続きでゆっくりと休む時間が取れなかったので、この時間がとても幸せ。
 昨日蟲の妖怪に襲われている所を助けた時に里の者から頂いた、三色だんごをほお張る。
 よく噛んで味わったところを、少し冷ました緑茶で流し込む。最高の幸せ。
 そうしていると、遠くから誰かがやってくる。
 いつもの魔理沙かと思ったが、珍しい客もやってくるもんだ。紅魔館でメイド長をやっている咲夜だった。
「ごきげんよう。それよりも、お疲れ様の方がいいかしら?」
「そうね。最近仕事ばかりでお疲れだわ」
 彼女がここを訪れるのは珍しい。吸血鬼の付き添いなんかじゃなく、一人で来たのだから。
「どうしたの? 咲夜が来るなんて珍しいじゃない」
「別に、ちょっと近くを通ったからお茶でもと思ってね」
「まあ、上司のお使いをサボってもいいの?」
「たまにはいいじゃないの。船頭程サボってるんじゃんだし」
「まあいいわ。お茶、入れてくるから適当にくつろいでいて」
 今日の私は気分が良いから、咲夜にもおだんごをわけてあげよう。
 お茶と揃えて出すと、咲夜は喜んだ。
「うん、おいしい。たまには和菓子もいいわね」
「砂糖だらけの洋菓子ばかりだと太るわよ」
「まあ……言ってくれるじゃない」
「ふふっ」
「あははは。お茶とお菓子で大目に見てあげるわ」
 咲夜は私のもてなしが気に入ったようである。
 私もちょっと嬉しい。
「最近どうなの霊夢? 異変が多いみたいで、毎夜毎夜お嬢様が騒がしいんだけど」
「そうね、本当に大変だわ。暖かくなると変なのが沸くのかしら……はあ」
「こうすれば疲れが癒えるかしら?」
「え?」
 咲夜が私の手を取り、強く握った。その行動に驚いて、感嘆が漏れる。
「霊夢の手、冷たいのね。冷え性?」
「な、何よ。ベタベタ触って……」
「あ、嫌だった? それなら止めるけど」
「べ、別に……嫌っていうことは」
「あらそう。じゃあ……こういうのは?」
 咲夜の手が少しずつ上に伸び、私の肩に手を置いて抱き寄せられた。
「ちょ、ちょっと……」
「毎日妖怪の相手して疲れてるんでしょう? 私に甘えてくれてもいいのよ」
「じゃ、じゃあ……甘えさせてもらおうかしら」
「ふふ、霊夢ったら可愛いのね」
 咲夜に体を預ける。エプロンドレスの生地に頬を擦らせると、妙な安心感がした。
「霊夢の髪、触らせてもらってもいい?」
「いいけど、私の髪の毛なんか触っても……」
 私の言葉を遮るように、彼女の優しい指がそれに触れた。
 それに顔を近づけ、キスをするみたいに口を尖らせて音を立てた。
「や、やあねえ咲夜ったら……変態みたい」
「変態と呼ばれても構わない。私はもっと霊夢の色んなところに、触れてみたいの……」
「な、何言ってるのよ咲夜……きゃっ!」
 彼女が私を押し倒す。彼女の目は潤んでいて、その視線は真っ直ぐ私を見つめていた。
「ねえ霊夢……キスしてもいい?」
「……嫌って言っても、奪うんでしょう?」
「あら、わかる?」
「す、好きにすればいいじゃない……」
「じゃあお言葉に甘えて」
 彼女が上から被さる。咲夜の顔が近づいて来た。お互いの息がかかる距離。
 咲夜の笑顔が、少し歪む。
「でも、嫌だったら私を引き剥がして構わないから……」
「ううん、咲夜なら……別に構わない」
 歪んだ笑顔が戻り、いたずらっぽく笑った。そして、私の唇を奪った。
 口先を擦り合わせるような、ねちっこいキス。咲夜が離れて「舌を入れてもいい?」と訪ねた。
 私は何も言わず、頷いた。彼女の方から迫ってくると、本当に舌を入れてきた。
 驚いて離れようとするが、咲夜がしっかりと抱きしめるので逃げることが出来ない。
 されるがまま、私の口の中を咲夜が犯していった。
「うふふ……霊夢のお口、美味しい」
「も、もう少し優しくしてよ……」
「あら、こういう経験は少なかったかしら?」
 冗談を言いつつも、彼女が私のうなじを弄ぶ。指でくすぐられたり、舌を這わせられたり。
 変態的な彼女の攻めに、思わず艶な声が漏れた。
「相変わらず可愛い声ね」
「き、聞かないで……」
 突っぱねるような言葉を返しても、彼女は好き勝手に色んなところへ侵入して来る。
 咲夜が私の手を握り、再び私の目を見つめた。彼女が欲しい。そう思った。お互い、無言で口付け。
 どのぐらい相手を求めて、肌を重ねていたのだろう。何秒、何十秒か。何分、十何分いや何十分もだろうか。
 咲夜がお使いの途中であることを思い出して、私から離れていった。
 彼女が衣服を正しながら、立ち上がった。
「ご馳走様、霊夢。お茶と、あなたを」
「咲夜ったらいやらしいんだから」
「あなたのキスも中々熱かったわよ?」
「な……! あ、う……」
「うふふ、じゃあまた今度ね。待ち焦がれないっていうのなら、いつでも紅魔館にいらっしゃい」
「……ええ、またね。気をつけて」
 彼女が神社を飛び立ち、湖のある方へ消えていった。
 小さくなっていく咲夜の背中を見つめて、掃除の続きをすることにした。
 彼女の温もりを思い出すと、体が熱くなった。気持ち、顔も熱っぽい。
 今日は体を暖かくして休むことにしょう。今晩は巫女家業もお休み。
 だって明日は、紅魔館へ遊びに行くつもりなのだから。

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